先輩と私~ピュア系一途×爽やか系おおかみ~
「…ご、ごめんなさい……」
気を悪くしてしまったかなと、つい正座をして謝ると、さっきまでの膨れっ面が嘘のようににこっと微笑んだ。
「ふふっ、いいのいいの。それに、急かさずとも必ず……っと、これはまた今度でいいかな」
「…?」
先輩が何を言い掛けたのか気になったが、ふふっと笑い、誤魔化されてしまった。
「穂和ちゃんはまだいーの」
「は、はい…?」
腑に落ちない気持ちではあったが、何となく聞いてはいけない気がして、結局聞かずにその話はおわった。
「…さて!それじゃあ俺色々買ってくるから、穂和ちゃんはここで待ってて」
唐突に先輩がそう言い、教室から出て行こうとしたのを見て、私は急いで先輩を引き止めた。
「せ、先輩!買い物なら私が行きますっ!先輩こそ、ここで待っていて下さい!」
後輩である自分が先輩に買いに行かせるなんて言語道断だと、そんな思いから先輩を呼び止めたが、先輩は一瞬驚いた後、ふわりと笑った。
「先輩に気を使うのはいいことだけど…俺にはそこまでしなくていいよ。…それに、今は先輩としてではなくて、彼氏として、言ってるんだけど?」
優しい声と、優しい瞳でそう言われては、ノーとは言えなくなり、私は素直に頷いた。
「よし、いい子。…多分時間かかるから、部室の方に移動してて。午前午後ってシフトで疲れただろうから、ゆっくり休んでな」
そう言い先輩は私を労るように頭をポンポンと撫でてくれた。
「それじゃ、行ってくるね」
「は、はい…!」
先輩が教室から出て行くのを見送った後、自分がまだメイド服を着ていたことを思い出し、急いで着替えて部室へと向かった。