先輩と私~ピュア系一途×爽やか系おおかみ~
君のいる場所─先輩said─
「笠幡く~ん!」
「なーにー?」
自分の名字が、嫌いだった。
呼ばれることは、その倍嫌悪した。
「あのねぇ、ここを教えてほしくってぇ~」
甘い声を出して、俺に縋る女子たちを、俺は酷く冷めた目で見ていたし、軽蔑していた。
それもこれも、全部、俺の肩書きによるものだと知っていたからだ。
もしくは容姿。
自意識過剰なわけでもないが、これまでのことを総合して認めない程鈍感ではない。
容姿を褒められるのは素直に嬉しいが、その気持ちの中に、俺の肩書きへの評価も加えられているのだと思うと、自分の容姿も嫌いになっていった。
俺は、ベタベタとすり寄ってくる女にその場しのぎの返答だけを返し、本来の目的である場所へと向かった。