先輩と私~ピュア系一途×爽やか系おおかみ~
「詫びは聞き飽きたって。それで?こんなとこにわざわざ呼び出したんだから。それなりの理由があるんじゃないの?」
長くなりそうな気がし、一方的に本題に戻した。
すると、そんな俺の意図に気づいたのか、急いで親父は応対した。
「あ、ああ。そうだったな。話というのはな…私が経営を掛け持ちしているのは知っているのだろう?」
理事長であり、取締役であり、なんて、親父の肩書きを上げていったらキリがない。
勿論知っている、と首を縦に振る。
「そのことなんだが、実は海外に足をのばさなければならなくなってしまってだな…」
「それって…この学校をあけるってこと?」
「まあ、そうなるな。だが、空席にしておく訳にも中々いかないんだ。─そこでなんだが、紘、お前に代理を任せたい」
突然の指名に、困惑を隠せず、思い立った疑問をぶつける。
「代理…?そんなの生徒会長に任せておけば…」
「…ああ。大部分は生徒会長に任しておく。だが、最後の審判はこの私、理事長の手によって下されることになっているのがこの学校のルールだ」
「…」
正直、驚く気持ちよりも、戸惑いの気持ちの方が断然強かった。
すると、そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、親父は眉を下げてこう言った。
「そんなに気負いしなくとも、お前ならやっていけるだろう。なにが正しくて、なにが間違っているのか。正当な判断が出来ると考えた上での決断だ」