先輩と私~ピュア系一途×爽やか系おおかみ~
昨日の分…?
不思議に思い、机と自分の腕の隙間から先輩を見やると、先輩はおもむろに顔を上げ、真剣な眼差しで、私を見つめた。
「今日は穂和ちゃんとお話をしたいと思います。大事な、お話です」
…話……?
大事な……
聞いたことのないような、先輩の声色にドクンと脈打つ。
「ねえ、穂和ちゃん。本当にごめんね。俺、穂和ちゃんに黙ってたことがあるんだ」
…………え?
思わぬ先輩の告白に、まばたきをした。
「俺、知ってた。穂和ちゃんと会ったことがあるって」
止まった鼓動が、今度は熱を含んで胸を打つ。
「言えなかった。穂和ちゃんは忘れているんだと思って。…きっと、俺だけなんだろうなって思って、言えなかった…」
先輩も、私とおんなじ事を思って…。
「…初めて会ったとき、名前を知ってたのを言わなかったのは、こんな理由だからだよ」
女々しいよねと苦笑する先輩に、私は先輩への愛しさが止まらなかった…。