虹の橋‐ポッキーの日短編小説‐
「柚花? 俺だよ」


あたしの小さな悲鳴が聞こえたのか、ドアの向こうから嵐の声が聞こえてきた。


って、はや!!


あたしは慌ててスマホを机に戻して、ドアへと走った。


「あ……嵐!?」


そう呼びながらドアを開ける。


「よぉ」


そこに、嵐は立っていた。


まるで何事もなかったかのように、平然とした表情で。


癖っ毛でフワリとした柔らかな髪に、180センチほどの長身が立っている。


あたしはそんななにも変わらない嵐を見た途端、ジワリと視界が涙に歪んだ。


思わず抱きついて泣き叫びたくなる。


その衝動をなんとか押し込めて、「どうぞ」と、笑顔で嵐を室内へと入れた。


「うわ。頑張ったなぁ」


部屋の中を見るなり嵐が言う。


「でしょ?」


へへんっと鼻を高くするあたし。
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