虹の橋‐ポッキーの日短編小説‐
嵐はそんなあたしの鼻をつまんで「ありがとう」と、言った。


その言葉に胸の奥がジンッと熱くなる。


頑張ってよかった。


どうすれば嵐が喜んでくれるのか、ずっとずっと考えていたんだもん。


「嵐は少し普通すぎない?」


あたしは黒いTシャツに紺色の上着姿の嵐を見てそう言った。


動きやすさ重視といった感じで、あまり人目は気にしていないような格好だ。


「着替えてこようか?」


「え? いいよ、別に」


あたしはブンブンと首と手をふって否定する。


少しでも嵐と同じ時間を過ごしたかった。


少しでも時間を無駄になんてしたくなかった。


「そのままでも十分カッコイイから大丈夫だよ」


「また、心にもない事を」


あたしの言葉に嵐は少し呆れたような顔をする。
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