虹の橋‐ポッキーの日短編小説‐
あたしが両手に荷物を抱えて上がると、嵐がドアを開けてくれた。


「えへへ、ありがと嵐」


「なに、それ?」


嵐がトレーの中のポッキーを指差す。


「これ? これね、《ムーン》の店員さんがおまけでくれたポッキーなの!」


「え? じゃぁケーキは《ムーン》の?」


「もっちろん!」


「やった! 俺あそこのケーキ大好きなんだよ」


嵐が嬉しそうに言う。


うんうん、そうだよね。


《ムーン》のケーキが嫌いな人なんて、あたし今まで聞いた事ないもん。


そう思いながら、小さな丸いケーキを取り出す。
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