虹の橋‐ポッキーの日短編小説‐
口にポッキーをくわえたまま、嵐が言う。


そ、それはそうだけど。


あれは部屋の中が暗かったからできた事で……。


ロウソクを吹き消してしまった今、部屋は明るい。


「ほら、いつまで待たせる気?」


「い……いつまでって言われても……」


モジモジと返事をしていても、嵐は一向にポッキーを食べ進めようとしない。


恥ずかしくてもあたしが頑張らなきゃこの状況は変わらないようだ。


あたしはスッと息を吸い込んで、勢いよくポッキーに端を口に含んだ。


と、同時にキュッと目を閉じる。


それだけでも十分近い距離なのに、ポッキーは徐々に短くなっていく。


あたしは口の中の甘いチョコーレートを楽しむ暇なんてなかった。
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