虹の橋‐ポッキーの日短編小説‐
別れの時間
玄関のドアが開く音が聞こえて来て、あたしたちはハッと身を離した。


時計を確認すると夜の10時を過ぎている。


うそ。


いつの間にこんなに時間が経っちゃったの?


「ただいま柚花」


玄関からきこえてくる両親の声に、サッと青ざめる。


「嵐……」


「大丈夫だから。そんな顔すんな」


嵐だってわかっているくせに。


嵐だって辛くて仕方ないくせに。


嵐はそう言って、あたしの頭を撫でたんだ。


「で……も……!」


「大丈夫だよ柚花。お前は絶対に幸せになれる」


嫌だよ。


なんでそんな事言うの?
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