虹の橋‐ポッキーの日短編小説‐
お墓に向かって手を合わせていると、お母さんのそんな声が聞こえ来た。


あたしは目を開け、そちらへ振り向く。


「あ……虹!?」


外は真っ暗で雨も降っていないのに、そこには綺麗な虹ができていたのだ。


それはまるで嵐が天国へ帰って行くためにかけられた橋のようで……。


一瞬、虹の上で笑いながら手を振っている嵐の姿が見えた気がした。


あたしは立ち上がり、虹に向かって大きく手を振り返す。


今度は、とびきりの笑顔で。


「ありがとう、嵐!! また、来年ここに来るからね!!」


大きな声で、空まで届けと叫ぶ。


『サンキュ、柚花』


そんな返事が、あたしには確かに聞こえたんだ。




おしまい
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