インセカンズ
安信がいるだけで、いつもの砕けた同期会にほどよい緊張感が生まれる。それは決して居心地の悪いものではなく、気付いた頃にはその空気も打ち解けたものになっている。
「もう、ミチル飲みすぎだから。ヒデくん、呼ぶ?」
アルコールに弱い割にはピッチが早い彼女は、それまでごくごくと飲み干していたワイングラスの柄を掴んだまま途端に突っ伏す。急にガクンとくる体質のようで、緋衣の隣ですやすやと寝息を立てている。
「いい加減、誰かミチルに酒の飲み方教えてやれよ」
「あー! ミチルだけずるい! 私も!」
対面に座る安信が「おーい、起きろ」と彼女の頭をぽんぽんと叩くと、すかさず、総務のノリコが身を乗り出してくる。
安信が出席するときはいつも一番乗りで隣りを死守する彼女だが、今日は終業間際にうっかり取ってしまった電話が徒となり、彼から一番遠い席になってしまった為、虎視眈眈とこの機会を狙っていた。
「ノリコはもうっ! 彼氏いる前で、よくそんなことできるよね」
毎度のことながら呆れ顔なのは、経理のアミだ。
姉御気質の彼女は、この奔放な同期を前にするといつもハラハラと肝が冷える思いで、どうしても少し強めの口調になってしまう。
「もう、ミチル飲みすぎだから。ヒデくん、呼ぶ?」
アルコールに弱い割にはピッチが早い彼女は、それまでごくごくと飲み干していたワイングラスの柄を掴んだまま途端に突っ伏す。急にガクンとくる体質のようで、緋衣の隣ですやすやと寝息を立てている。
「いい加減、誰かミチルに酒の飲み方教えてやれよ」
「あー! ミチルだけずるい! 私も!」
対面に座る安信が「おーい、起きろ」と彼女の頭をぽんぽんと叩くと、すかさず、総務のノリコが身を乗り出してくる。
安信が出席するときはいつも一番乗りで隣りを死守する彼女だが、今日は終業間際にうっかり取ってしまった電話が徒となり、彼から一番遠い席になってしまった為、虎視眈眈とこの機会を狙っていた。
「ノリコはもうっ! 彼氏いる前で、よくそんなことできるよね」
毎度のことながら呆れ顔なのは、経理のアミだ。
姉御気質の彼女は、この奔放な同期を前にするといつもハラハラと肝が冷える思いで、どうしても少し強めの口調になってしまう。