好き、好き、大好き
「魁」

「・・・あい?どうした?」

「さっきはごめんな、イライラしとって・・・」

「ぇえよ。別に気にしとらんしなっ!」

魁は笑って応えた。

「それよかお前前髪上げたんか」

「気分転換」

「・・・・眉毛うすっ!」

「今生やしとんのよ」

「剃りすぎじゃ」

こう見たら魁って背が高いな。
顔もそこまで悪くない。うちの事もよく分かってくれるし
何よりいい奴だ。
そう考えてみればこの喧嘩も意外に楽しい。

「魁も眉毛ないやん」

「俺も生やし中やけん」

そう言って前髪を上げてうちに見せる。
『剃るの上手いな』と感心しながら
魁の眉毛を見上げた。

「魁、あんたかっこいいやん」

「え?」

「思っただけーっ」

うちはそう言ってその場から離れた。

「魁?どうした?」

周りの奴から声をかけられる、魁。
だが魁にはそいつらの声なんて届いてなくて
たださっきあいが言った言葉が
頭の中をぐるぐる回っていた。

「女ってすげぇな」


―放課後―

やっと今日という日が終わった。
重い教科書を鞄につめてうちは机から放れようとした
その時、

「坂口さん」

「・・・?」

「ちょっと話があるんやけど、ぇえ?」

「うん」

こいつは確か・・・・隣のクラスの奴だ。
名前は覚えていない。
うちと話したことないのに・・・・
何なんじゃろうか、
うちはその男子の後ろを
黙ってついていった。

着いた場所は、人気のない場所。
こんなとこで一体何するつもりや、

「坂口さん」
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