好き、好き、大好き
いきなりうちの前に立っている男子が振り向いて
うちの名前を呼んだ
いきなりすぎて反応が鈍くなってしまった

「うえっ?!あ!何?」

「『うえっ?!』って・・・・逆に何ですかじゃで」

とクスクス笑った。
その笑い方がどことなく上品でかっこよかった。

「そ、それで?どしたん?」

笑顔に見とれている場合じゃない。
うちにはこれから好きなドラマを見るという使命があるのだ。
早く帰って風呂に入らなければ落ち着いてドラマを見れない。

「ん?あんな、好きな人。俺の好きな人知っとる?」

「いや・・・知らんけど」

「そうなん、結構噂になってるから知ってると思った」

うちには噂というものがなかなか耳に入らない。
というか、気にならないから。
人が言う噂って大していいことでもない。
だるいだけだ。

「それで?」

いい加減イライラしてきた。
早く帰ってゆっくりしたいんだ、ドラマが見たいんだ。
少しうちの目つきが悪くなった気がする。
でもその男子は気にせず続けた。
















「俺の好きな人、坂口あい」














「え?」

う、うちですか?!何でまたこんな事に。
でも今はそれよりドラマが気になる。

「返事、いつでもいいけん」

「うん、ばいばい」

そう言って走って帰った。
その時はドラマの事で頭がいっぱいだった。
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