好き、好き、大好き
―ガチャッ―

「ただいまっ」

「どしたん?そんな急いで」

台所から顔を出した母さんが不思議そうにうちを見た。

「ドラマがあるからはよ風呂入らんといけん」

「あー・・・そういう事」

急いで外に干してある自分の下着を取って。
タオルとか色々持って風呂場へ駆け込んだ。

―シャー・・・―

「ぷ・・・」

やっぱ風呂はいい。
全てが流されていく気がして気分がいい。
って・・・・・

「今は和んでる場合じゃなかった!」

うちは急いで髪を洗って体を洗って、顔を洗って
ゆっくりもしないうちに風呂から上がった。
湯気が体を包み込む。
『ふぅ』と一息つく。でも少しだけ。
今度は髪を乾かさなくては。
髪が長い分、乾く時間も長い。
この時間が一番嫌いだ。イライラする。

「やっぱ短気なんかな」

改めてうちは自覚した。

やっと髪が乾いた。
うちは急いでリビングに向かった。
リビングには姉ちゃんがもうドラマを見る準備をしていた。

「あい、遅かったね」

「色々あったんよ」

「そう」

―~♪~―

ドラマが始まった。
うちがこのドラマを好きな理由は
出ている俳優がうちの好きな俳優ばかりだからだ。

「かっこい~・・・・」

その時ふと思い出す。
そういえば、あの男子・・・名前何てゆうんやろ・・・
相手はうちの名前知ってるのに
うちは知らん。何かむかつく。
名前くらい、あの時言ってくれればよかったのに。
でもどうしてうちはこんなにも
あの人に対してこんなにもイライラしてるのかな。
やっぱり自分は分からない。

「あい?」

「・・・ん?」

姉ちゃんはうちがドラマに集中してない事を察して
不思議に思ったのだろうか。
うちの顔を覗き込むように見ている。
無理もないか、いつもなら『かっこい~』を連発して
姉ちゃんにいつも『うっさい』って注意されるくらいだもんな。
いつもなら目を輝かせて見るのに
今日は冷めてる。うちって分かりやすいんやな。

「何かあったんか?」

「何もないよ」
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