メランコリック
静かな夢
笑い声が聞こえる。
私は耳を塞がない。
その声が私を嘲笑うものであっても、反応する価値はない。
当座の仕事として、在庫のカウントをする。
本日最後の仕事。掃除をするアルバイトたちの近くで、私は正社員としての仕事を黙々と片付ける。
「レジ締め、お願いしてもいい~?」
間延びした声で話しかけてきたのは二年上の先輩女子社員の兵頭(ひょうどう)さん。
私は短く応の返事をする。
私が了承したと見るや、彼女はくるんと背を向け仲間のもとへ戻っていった。
「あいつ、マジ断んないよね」
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