メランコリック
「やめよう、そんなこと」


「やめねぇよ。そりゃ、おまえからしたら、俺はムカつくヤツだよな。俺のこと嫌いでもいいよ。でも、俺は……おまえみたいな女が楽しそうに笑えるんだとしたら……それを隣で見たい」


胸がぎゅっと締め付けられた。
相良は、いつの間にこんなことを考えていたのだろう。

私を迫害しながら、私を気にしていた相良駿吾。

だからこそ、私はきちんと言わなければならない。


「相良くんはボランティアみたいな気持ちでいるのかもしれないけれど、私はいいの」


私ははっきりと言い切った。


「私はこの先もひとりでいたい」


「藤枝……」


私は相良の胸を押し、抱擁をゆっくりと解いた。
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