メランコリック
感情の肯定
藤枝が異動していったのは12月の頭で、店舗では予想通り送別会も何も催されなかった。
俺と藤枝もほとんど喋ることはなかった。
引き留めることもできず、引き留めたところで甲斐もなく、あいつは本社勤務になった。
たまにしか、会えなくなる。
そのたまにが、いつやってくるかもわからない。
最寄り駅は同じままなんだ。また、コンビニあたりで会えるだろうか。
ただ、今度は勤務体系も違う。あいつは土日休みのオフィスワーク。
偶然会えることを期待していいかわからない。
藤枝に会いたい。
藤枝に言ったことは本気だ。
本気で付き合おうと言った。
あいつが好きなのかなんてわからない。だけど、藤枝があんな寂しい瞳でひとりで生きていくのは嫌だ。
誰かのものになって幸せになれるなら、その方がいい。それなら俺が立候補する。