メランコリック
「でも、長年つちかってきたものって、そう変えられない。私は誰かと恋をするつもりはないし、ひとりで平穏に年を取っていけたらいいと思ってる」


藤枝は俺に向き直って言った。


「私なんかに興味持つのは、やめた方がいいよ」


そう言って背を向けた。
俺はその背中に声を張り上げる。


「孤独死希望なんて、ありえねーぞ!俺は諦めねーからな!」


藤枝は振り向かず、細い脚で小走りにアパートの外階段を登っていった。




*****




「相良くん、ちょっといい?」


俺の上がりの時間、先輩の兵頭さんはスタッフルームでコーヒー休憩を取っていた。
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