メランコリック
「たまたま帰りが一緒になっただけッスよ」


「嘘、相良くん、あの女のこと嫌いだったじゃん!一緒に帰るわけないもん!」


「……ちょっと前に、あいつ怖い目にあってんスよ。だから、護衛?一応、同期だし、最寄り駅一緒だし」


ああ、なんでこの人にこんな言い訳じみたことを言わなけりゃならないんだろう。
あんた、俺の彼女じゃないじゃん。


「そんなの理由になんない!なに?藤枝としたの?あの女がさせてくれたから、仲良くしてやってんの?相良くんの狙いって最初から、ソレ?」


「ヤッてないですってー」


俺はエキサイトする兵頭さんをなだめようと微笑みながら、実際は面倒くさくなっていた。


いいじゃん、俺が藤枝をかまったって。
いいじゃん、好きだって。


どうせ片想いなんだよ。

今までのモラハラが災いして、めちゃくちゃ後方スタートなんだよ。
この先も、たぶん俺があいつの特別になれる可能性なんて、すっげえ低い。


だから、あんたにはビタ一文関係ないっつうの。
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