メランコリック
母からの手紙には追記があった。


『お父さんに会ってきました』


私はその文にドキッとする。
父は福島の山間の療養所にいる。アル中専門の療養所だ。


『あまり、具合が良くないようです。今年の冬は寒いので、身体に堪えるのかもしれません。汐里に会いたがっていました』


母は父に未練があるわけじゃない。
ひどい目に遭って、離婚したのだから。

それでも、一度できた絆を母は断ち切れていないのかもしれない。
あんな男でも……。

私の父への想いは複雑だ。

父のせいで私たち家族が壊れた。
そんな恨みが私の心に巣食っている。

あげく、私のこの精神。
この厭世的な思考こそ、父そのもののようで、私は自分にも父にも嫌悪を覚える。
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