メランコリック
「相良くん、私、食事は行かないって言ってる。付き合えないって何度も言ってる」


「俺はおまえを二時間待って冷え切ってんだよ。トイレにも行きたいし。すぐそこにファミレスあんだろ。そこくらい付き合え、バカ」


相良は私に荷物を置きに戻らせることをやめ、私のバッグを人質のように持って先に歩き出した。
新年3日、夜のファミレスは人も少なく、煌々と光る照明と明るい店員の声が眩しすぎた。同時にものすごい非日常感。

相良はハンバーグにサイドメニューにと色々頼んでいる。
私はそんな相良を見つめ、仕方なくドリアを注文する。


「俺のオゴリだから、好きに食えよ」


「いいよ、自分の分くらい出す」


「二人でメシに来てんだぞ。男に出させろ」


相良を男として意識したことはない。
いや、この前のキスの時は別。でも、それだけだ。

あんなに拒否し続けたのに、二人で食事の運びになってしまったことに暗澹とする。


「おまえの実家ってドコ?」

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