メランコリック
相良は毎週水曜か木曜にやってくる。
来る日程がわかると必ず連絡があり、帰りは一緒に帰ることになる。

正直、困っている。
何度も断ったけれど、相良は応じない。私自身、他の男性にされたらもっと恐怖を感じるかもしれないこの付きまといが、散々嫌がらせをされてきた相良が相手だと反応が鈍い。
馴れてしまっているがゆえに、拒否機能が薄らぐ。

笙子に相談してみた。
考えてみたら、笙子に私から何かを相談するのは初めてで、遡ってみても、友人に相談事をする自分の姿は出てこない。
異常事態続きだ。


「いいじゃない」


笙子はあっさり答えた。


「相良、あんたに本気だよ。試しに付き合ってみたら?今までとは違う価値観を感じられるかもよ」


そんな励ましってない。相談の答えにもなっていない。

私はほとほと困りながらも、今日も相良と帰る時刻を気にし始めていた。
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