メランコリック
定時過ぎ、相良は生産管理課のオフィス前で待っていた。
最近は堂々としたものだ。
生産管理課の上りが早いことをよく知っている。


「仕度終わるまで待ってる」


そのまま女子ロッカールームの前までついてくるのだから嫌だ。
以前は周囲に私といるのを見られたくない様子だった相良だけど、最近は違う。
女子社員が必ず訪れる場所についていっても問題ない程度に、私と並んでいることを隠さない。

それは、笙子のいう「本気」なのだろうか。

相良を廊下に残し、ロッカールームに入る。
すると、目の前に飛び込んできた光景は思わぬものだった。



「……どうした?藤枝」


ロッカールームから出てきた私の顔色が悪かったせいか、相良が問う。

なんでもない。
そう答えたつもりだったけれど、いきなり手をつかまれた。
私の手の中には破かれた紙幣のかけら。

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