メランコリック
「なにこれ?」


相良の空気が変わる。
私は首を振った。


「私のことが気に入らない人は本社にもいるみたい」


ロッカールームに広がっていた光景は、私のロッカーが開け放たれ、私物がぶちまけられた図だった。

鍵がかかるので、お財布を入れる女子も多い。私も同じくお財布を入れておいたのだけど、カード類はぶちまけられ、紙幣はびりびりに破かれていた。
たいして多くない私物は、本やハンドクリームくらいだけれど、これらもロッカールームのカーペット敷きの床に転がっていた。


「兵頭だ。絶対あいつだ」


相良が憎々しげに言った。
何故、兵頭さんが出てくるのだろう。
彼女はまだ相良と同じ自由が丘店にいるはずじゃないか。


「俺、あの女のこと振ったんだよ。藤枝と付き合ってんのかって聞かれたから」


私の名前が出ていたのか。二人のいざこざに。
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