メランコリック
ということは、これは兵頭さんと仲の良い女子社員の仕業?
鍵が手に入ったということは、総務あたりを考えればいいのかな。

しかし、犯人探しはする気がなかった。
面倒事にいちいち反応するのはばかげている。


「俺のせいだ。悪い」


相良が珍しく神妙な顔をしている。私が髪を切られた時と同じ反応だ。


「別に相良くんのせいじゃないよ」


「俺が兵頭を刺激しなければさ、こんな……」


思い上がらないでほしい。
私は彼と付き合うことになったわけでもない。

兵頭さんが私を気に入らないのは今に始まったことでもないし、どうせ「ちょっと嫌がらせしといて」程度の話だ。ほんの一回、二回我慢すれば済む。
これがきっかけで本社でいじめなんてことにもならないだろう。
これからは私物の管理を徹底し、日々の生活にも気をつければいいだけだ。

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