メランコリック
私自身、どこかで相良の好意に慣れていたのかもしれない。
拒否するより、受け入れる。
それは、あいつにいじめられてきた一年半だって同じだった。

相良は私に謝って、あらためて好意を示してくれたけれど、それだってもうどうでもいい。
むしろ、私の内面を土足で踏み荒らすなら、どんな感情も一緒だ。

私は相良を避け、よほど平和な日々を手に入れた。
相良は毎週しつこく私を誘うし、笙子を使って食事を設定しようとするけれど、私はそれらも拒否している。


「取り付く島がないわよ」


そんなことを笙子に言われたけれど、相良はすでに私の中から削除対象。
それでいいのだ。

相良がくれたキスも、手のぬくもりも、抱擁の心地よさもすべて忘れる。
あんなものは一時の迷い。
それこそ、永続性はない。

嫌がらせは少し落ち着いてきた。
兵頭さんの気は済んだのだろうか。それとも、実行犯のお仲間が飽きたのだろうか。

なんでもいい。
でも、少し疲れた。

先のことなんか考えなかった。いつだって現状維持。
自分の居場所なんて考え方はしない。居心地のいい場所はこの世のどこにもないのだから、どの場所も一緒。そう思ってきた。

でも、今は、相良の好意が苦しい。
私をぐちゃぐちゃにかき乱すあの男の強引な感情が嫌。
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