メランコリック
「やめて。そういう無邪気ぶった言葉が嫌なの。永遠なんてこの世にはないんだから」


私は首を横に振った。
相良の言葉が胸の真っ暗な部分を柔らかく抱き締めるような感覚があった。
それを拒絶したくて、必死に首を振る。


「ないよ、永遠なんて。でも、それが当たり前なんだよ。みんなそれを受け入れて生きてる。おまえは、早くに寂しい想いをしすぎて、これ以上の孤独を受け入れらんなくなってんだ。だから、他人と関わりたくないんだ」


相良が両手を背に回し、私を一息に抱き寄せた。


「永遠なんてないけど、俺との絆はなくならない。死ぬまで……死んでも、おまえと離れない。おまえの中に俺の気持ちが消えずに残るようにする。その約束はできる。絶対反故になんかしない。だから、おまえはこれ以上、孤独を心配することはないんだ」


死ぬまでと愛を誓い合って、別れを選んだ恋人たちは何百億人といる。
気持ちの永続性が一番危ういのに、どうしてそんな風に誓えるんだか。

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