メランコリック
あー、ムカつく。
調子こいたこいつらもムカつくけど、こんなことを裏で言われて涼しい顔の藤枝もムカつく。

きっと、あいつはツラいことがあっても、杉野っつう好きな男と会えるから、この仕事を続けてるわけだ。
あー、くだらねぇ。


「ちょっと、からかってみません?」


中村がグロスでテカった唇を横に引いた。


「なに?どーゆーこと?」


「明日、取材が入るじゃないですかぁ。杉野マネージャーも来るし。そこで、ちょっと藤枝さんに失敗してもらうんですよ」


「なに、おまえ作戦あんの?」


中村がニヤニヤ笑い、武藤もそれにのりたいようだ。

藤枝汐里が杉野の前で失敗。

それは、少し楽しいかもしれない。
こいつらが調子にのってんのは、腹がたつけど、藤枝が狼狽する顔が見られるなら悪くない。


「いーんじゃない?聞かせてよ、中村」


俺は中村の立案企画に耳を傾ける。

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