メランコリック
番外編 冬の日
木枯らしの吹く寒い日、駿吾が私に会いに来た。
空は青くスッキリと晴れ、少し乾燥した風が私の鼻腔を冷たく刺激した。
駅前広場に現れた駿吾は、まず私を見て精悍に微笑み、次に私の手をとった。
「冷たい。手袋しろよ」
私は温かな駿吾の手のひらに自らの手を預け、それからゆっくりと指を絡めた。
「うん。気を付ける」
私たちは手をつないで歩き出す。
私の地元の駅は二階建ての駅ビル以外建物が少なく、閑散とした住宅街が広がる。
五分も歩けば建物そのものがなくなり、畑や森が続き、もっと行けば山にぶつかる。東京の外れは、充分田舎だ。
私と駿吾は並んで駅前のコーヒーショップに入る。数少ないお店はチェーンだけど、味は悪くない。
私はアメリカン、駿吾はカフェラテを注文し、背の高いカウンターについた。