メランコリック
「おまえさぁ」
駿吾が眉をひそめ、怒った口調になる。
「もうちょっと自重しろよ」
前よりも積極的でアクティブになった私を、駿吾は喜んでくれるけれど、今回は少し事情が違う。
私は眉尻を下げて、両手を顔の前で合掌した。
「大丈夫だから。ね、大きな池の周りを歩くだけ。お昼食べられるところもあるから」
結局、駿吾が折れる形で、私たちは都心とは反対側に向かう電車に乗った。
私の最寄り駅より何もない隣県の駅に降り立ち、二人で池を囲む山間の遊歩道を歩くことにした。
「どおりでスニーカーなんか履いてると思ったよ」
駿吾はまだ文句に近いことを言いながら、私の手を固く握って歩く。
トレッキングコースは平日の昼下がりとはいえ、何人も年配の観光客とすれ違う。
整備された遊歩道だけど、足元は落ち葉や土のでこぼこで不安定だ。
私がよろけでもしたら、駿吾は即座に引き寄せてくれるのだろう。
彼は少し過保護だ。
駿吾が眉をひそめ、怒った口調になる。
「もうちょっと自重しろよ」
前よりも積極的でアクティブになった私を、駿吾は喜んでくれるけれど、今回は少し事情が違う。
私は眉尻を下げて、両手を顔の前で合掌した。
「大丈夫だから。ね、大きな池の周りを歩くだけ。お昼食べられるところもあるから」
結局、駿吾が折れる形で、私たちは都心とは反対側に向かう電車に乗った。
私の最寄り駅より何もない隣県の駅に降り立ち、二人で池を囲む山間の遊歩道を歩くことにした。
「どおりでスニーカーなんか履いてると思ったよ」
駿吾はまだ文句に近いことを言いながら、私の手を固く握って歩く。
トレッキングコースは平日の昼下がりとはいえ、何人も年配の観光客とすれ違う。
整備された遊歩道だけど、足元は落ち葉や土のでこぼこで不安定だ。
私がよろけでもしたら、駿吾は即座に引き寄せてくれるのだろう。
彼は少し過保護だ。