メランコリック
「なんで、言わねーんだよ。杉野マネージャーに」


俺の声に藤枝が顔をあげた。
ストレートボブの髪が揺れる。


「言っても仕方ないから。私が見落としたのは間違いないし」


「おまえのチェックの後に細工されたんじゃねーの?」


「それでも私の責任に変わりない。それに……」


藤枝が言葉を切った。
無表情な顔からは何も読み取れない。


「面倒なことは嫌いだから」


違うだろ、おまえは下手な言い訳をして、好きな杉野に悪印象を残したくなかったんだろ?
かっこつけてんじゃねーよ。


「気味悪ィ女」


俺は吐き捨てるように言った。
憎悪すら感じた。
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