メランコリック
薬局と、駅前の複合ビルで時間を潰し、私は午後の勤務についた。

雨のせいで客足は悪く、暇な昼下がりとなった。夕方に雨が上がり、若い女性客がばばっと店内を満たし、20時半の閉店時間を迎えた。
兵頭さんが早番だったため、遅番は私と相良。

今日は本当に運がない。休憩も遅番も相良とかぶってしまった。
おまけに来ると聞いていた杉野さんも、大井町店のトラブルで来られず、会えなかった。

バイトの子たちは掃除が終わった時点で帰し、私がレジ締めをしている間、相良が在庫チェックと売り上げ管理という定時業務を済ませた。

終わるタイミングが同じだったので、店を出るのも一緒になってしまう。

ああ、今日は本当についてない。


「お疲れ様」


私は言って、相良に背を向けた。非常階段を通って裏口に向かうため。しかし、すぐに相良の声が追いかけてきた。


「待てよ」


私は立ち止まり、ゆるゆると振り向く。その速度が気に入らなかったようで、相良が私の腕をつかみ、強引に身体を向かい合わせられた。
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