メランコリック
結構な量がアスファルトに落ちる。濡れているから、少なく見えているけど、実際はだいぶ切られたようだ。


「可愛くなるんじゃね?」


「感謝してもいーよー、アハハ!」


二人のけたたましい笑い声。私は眩暈がしそうだった。

誰かを憎むと、人は残酷になる。
その憎悪を正当化しようと行動する。

巻き込まれた。でも、それは私の責任でもある。
私は無言でうつむいた。
早く終わるのを待とう。


その時だ。


「おい!何やってんだよ!!」


路地に闖入者が現れた。
私は顔を上げる。
そこにいたのは相良駿吾だ。暗い路地でも、彼の明るい髪色はよく見えた。


「おまえら、限度くらい考えろよ!」

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