メランコリック
「待っててやる。一緒に帰ろうぜ」


「いい。ひとりで帰れる」


この前タクシーで送った時、藤枝のアパートはわかった。俺の借りている部屋とは駅の出口は一緒だが、方向は違う。
だから、一緒に帰るというのは成立しない。

俺は藤枝を無視して、コンビニの前で待った。10分後、俺が待っているのを知っている藤枝が困惑気味に出てきた。


「相良くんのしてること、意味がわからない」


歩きながら藤枝が言った。そりゃ、そうだ。俺だって、わけわかんねーもん。


「おまえのことが嫌いだから、一緒に帰ってるだけ」


「意味がわからない」


藤枝が顔を上げた。
ショートカットも似合う。顔がはっきり見えると、藤枝の顔立ちが綺麗なのがよくわかる。
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