メランコリック
「昨日、内示が出て、俺の異動が決まったんだ。大阪支社へ」
「え……」
少なからず驚いた。
杉野さんは東京南地区のマネージャー。実質、営業部隊の筆頭だ。
時機に本部の中枢・戦略企画室に入るだろうと、店舗の人間は噂していた。
それが大阪支社。寝耳に水だ。
「急で済まないが、来週には籍をあちらに移す。南地区の後任は笹原さんに決まってるからよろしくな」
相良は短く「はい」と言って、さっさとフロアにレジを開けに行ってしまった。
スタッフルームには私と杉野さんが残された。私だって、早くフロアで開店準備に入らなければならない。
でも、杉野さんの顔を見たら、悲しくなってきた。
もう、滅多に会えないのか。
私の淡い恋も終わり。
「藤枝、俺がいなくてもしっかりな」
杉野さんが柔和な笑顔で言った。私は頷く。
すると、杉野さんが顔を近付け、耳打ちするように言った。
「よければ、明後日の晩、送別会をしてくれないか?」
「え……」
少なからず驚いた。
杉野さんは東京南地区のマネージャー。実質、営業部隊の筆頭だ。
時機に本部の中枢・戦略企画室に入るだろうと、店舗の人間は噂していた。
それが大阪支社。寝耳に水だ。
「急で済まないが、来週には籍をあちらに移す。南地区の後任は笹原さんに決まってるからよろしくな」
相良は短く「はい」と言って、さっさとフロアにレジを開けに行ってしまった。
スタッフルームには私と杉野さんが残された。私だって、早くフロアで開店準備に入らなければならない。
でも、杉野さんの顔を見たら、悲しくなってきた。
もう、滅多に会えないのか。
私の淡い恋も終わり。
「藤枝、俺がいなくてもしっかりな」
杉野さんが柔和な笑顔で言った。私は頷く。
すると、杉野さんが顔を近付け、耳打ちするように言った。
「よければ、明後日の晩、送別会をしてくれないか?」