私達の永遠~それから
私は力を無くし、感情が麻痺した。

生きているのかも、目の前のタクヤを愛しているのかもわからなかった。

憎かった。

だってタクヤは悪びれもせずに、それまで通り私の所へやって来た。

亭主気取りで飲み食いし、私を抱き、私の隣で寝た。

私は笑顔も忘れた。

最初の暫くは怒ったり泣いたりして責めたが、タクヤが黙るので流された状態だった。

私はこの人を愛している……?
わからない……。
この人は私をあんなに傷つけて、人生をめちゃくちゃに踏みにじって、どうしてこんなに平気で笑ったり、食べたり眠るの?

タクヤが寝ている間も私は眠れなかった。

憎しみか何かわからないまま、酷い精神状態で半年過ぎた。

私にとって世界はただ暗く、何の光もなかった。

ヒロの時のように、タクヤとの辛かった出来事とその前後の記憶がどんどんと頭から消えていった。

苦しみの日々の中で、ヒロの夢を見ては泣いた。

タクヤと生きると誓う為に、私の頭の中で、殺したヒロが息を吹き替えし、私を心底愛し、夫と子供という家族にもなったヒロが鮮やかにまた住み始めた。

無責任で勝手で冷酷なタクヤと違いヒロは誠実だった。

私が相手に求める一番は誠実だ。

私は苦しみ始めた。

< 72 / 149 >

この作品をシェア

pagetop