我妻はかごの中の鳥


「きゃっ!口きいた!」

一人がもう一人の顔を見合わせ、うなずきあう。

仲の良さが伝わり、瑠璃と瑠璃の友人関係を思い出す。


「あのぉ…お一人ですか」

「え?あー…」


そういえば、瑠璃がこない。

大丈夫かなあの子、ストーカーとかにラチられてないかな。

瑠璃が来るから一人じゃないけど、今のところは一人だ。


「まだ一人…?」


「ま、まだ?」

あれ?可笑しい回答だった?

訝しげに見られたので、ちょっと傷つくナイーブな俺。

「えっとぉ、この近くに美味しいドーナツ屋さんがあってぇ、女の子だけじゃアレなんで一緒に行きませんかぁ?」

上目使いで聞いてきた彼女に、違和感。

「え?女の子で行けばいいじゃん。俺行ったら逆にお邪魔じゃない?」

「やっ、あの…!貴方と仲良くなりたいってゆーか、そのぉ」

「あっ、じゃあ電話番号かメアド教えて下さい!寂しいときとか呼んでもらえれば、相手しますしぃ…」

しどろもどろになりかけたから、ますますはてなになる。

寂しいとき?

いや、俺瑠璃がいるし。


「電話番号か…ダメなんだよね。保護者とゆーか、姉貴的な子に個人情報は教えるなって言われてて」

「姉貴的な子?」

< 101 / 140 >

この作品をシェア

pagetop