我妻はかごの中の鳥
「きゃっ!口きいた!」
一人がもう一人の顔を見合わせ、うなずきあう。
仲の良さが伝わり、瑠璃と瑠璃の友人関係を思い出す。
「あのぉ…お一人ですか」
「え?あー…」
そういえば、瑠璃がこない。
大丈夫かなあの子、ストーカーとかにラチられてないかな。
瑠璃が来るから一人じゃないけど、今のところは一人だ。
「まだ一人…?」
「ま、まだ?」
あれ?可笑しい回答だった?
訝しげに見られたので、ちょっと傷つくナイーブな俺。
「えっとぉ、この近くに美味しいドーナツ屋さんがあってぇ、女の子だけじゃアレなんで一緒に行きませんかぁ?」
上目使いで聞いてきた彼女に、違和感。
「え?女の子で行けばいいじゃん。俺行ったら逆にお邪魔じゃない?」
「やっ、あの…!貴方と仲良くなりたいってゆーか、そのぉ」
「あっ、じゃあ電話番号かメアド教えて下さい!寂しいときとか呼んでもらえれば、相手しますしぃ…」
しどろもどろになりかけたから、ますますはてなになる。
寂しいとき?
いや、俺瑠璃がいるし。
「電話番号か…ダメなんだよね。保護者とゆーか、姉貴的な子に個人情報は教えるなって言われてて」
「姉貴的な子?」