我妻はかごの中の鳥


「ねぇラミ、もしかしたらこの人、マネージャーとかの事言ってるんじゃ…」

「あ!そっか!なるほどねぇ…どこの事務所に所属してるんですか?それとも読モかなにか?いや、アイドルですか?」


俺の職業は小説家ですけど?


なんでアイドルの話になってるのか、ますます意味がわからなくなっている中。


「っ、」


トサッと小さな衝撃が背後から俺を襲った。

瞬間に腰に回された細い腕に、目を見開く。


ふわりと鼻孔をくすぐるは、花によくにた甘い香り。


振り向けば、俺に抱きつくような形で登場してきた瑠璃がいた。


「る、瑠璃!どしたの!?」


瑠璃が来たのが嬉しくて、つい声が大きくなる。

ああやはり彼女は可愛い。

「…、」

黒い荒めのニット棒で白髪を目立たぬようにしている彼女は、申し訳なさそうに無表情で足元を指す。

焦茶のブーツに事と事情を把握した。


「そっか〜…新しく下ろしたブーツで走ったらこけちゃったのか〜」

こくん。


「「えっ…?」」


俺の発言に驚いたらしく、女の子二人は同時に声をあげる。

まあね、俺瑠璃の考えなら大抵わかるし?
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