我妻はかごの中の鳥


「……」


あんぐりと口を開けてしまう。


え?

俺、今までナンパなんてされたことなかったぞ?

あの女の子たち余程男に飢えてたの?

いや、そもそも女の子ってナンパされる側じゃ…?


「……お兄ちゃん、今までこういう事あった?」

「いや…ああ、でもお茶誘われたり、電話番号聞かれたりはしょっちゅう。
あ、ストーカーがいるから部屋まで警護頼むとかもあったなー」


「…みんなナンパ」

「うぇええ!?最後のなんか俺、警察行きなさい!って真剣に相談しちゃったよ!?」

「…お兄ちゃん…」


心底気にくわなそうに、無表情の部類に入る顔で俺を睨む。

「…わー…」

やっべ、俺もてるんじゃあ…

ああでも、瑠璃以外の女の子に興味はない!断じて!


「ってゆーか瑠璃さん、なんで機嫌が悪いのさ」

「……」

ぷいっと駅の方に向かってしまう。

なびく白髪に、妄想が浮かんだ。


「なあに〜?なあに〜?妬いてるの?可愛いなあ瑠璃ちゃぁあん」


愛しくってたまらない妹に背後から抱きつく。

胸がこしょこしょとくすぐったくって、愛しさがあふれる。


瑠璃は、びくっと肩をあげて強ばらせる。

抱き締めたお陰で、花によく似た香りが強くなった。


そのあと、白いバッグで顔面を殴打という甘いお仕置きをいただいた。


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