我妻はかごの中の鳥
「鈴花〜、妹さんですよ〜」
ガチャリとドアを開ければ、中は完全な休憩室。
白い業務用の長机にパイプ椅子。
紙コップが散乱していて、中身は皆緑茶だったみたい。
そんなスーパーとかの休憩室と変わらない光景の中に、華やかな少女が一人。
ブツブツとバッグを抱えながら体育座りをしていた彼女は、瑠璃を見るなり面をあげて突進してきた。
「きゃぁあああっ!瑠璃ちゃぁあん!」
「っ!?」
さすがの瑠璃も目を見開き、身構える。
ジャンプして瑠璃に抱きつき、ぎゅうぎゅうと抱擁。
彼女――弥生はバカでかいため、ちっさい瑠璃は食われてるようにしかみえない。
抱きついた拍子に、ふわふわのショートカットな茶髪が瑠璃の白髪と混じる。
「やだやだ瑠璃ちゃん来てくれたのぉお?もう可愛いんだからぁ…!」
「……」
かぷかぷと耳たぶを甘噛みされるも、無言無表情。
もうされるがままのなすがまま。
頬擦りされる瑠璃がさすがに可哀想に思った俺は、弥生を止めに入ることにした。
「弥生!俺の瑠璃を返せよ!」
「あ、伊織。いたんだ気づかなかった」
ケロッとした顔で言われればさすがに傷つくぜ弥生さん。