我妻はかごの中の鳥
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――イベントは大成功だった。
ニキビなんか誰も発見せず、ただテレビや雑誌の向こう側で輝く彼女に溺れるだけだった
弥生のサインを貰ったと、無表情の部類で喜ぶ妹。
「……」
お兄ちゃんもサイン会する?と平積みの俺の本を指差す。
「や、いいです。俺人見知りだし」
「…」
ちゃっかり『今週の売り上げランキング』の棚に俺の本を紛らす瑠璃だった。
経済の本を退け、俺の本を変わりに置く。おい、それやっちゃダメだから。
「……これから、どうする…?」
小さく瑠璃に聞かれ、戸惑う。
目的は達成したんだ。
「お昼いこうよ、時間的にもいい時間だし?」
こくんと頷く瑠璃が、ああもうかわいいなこのやろ。
抱きつきたくなる衝動のなか、俺らは本屋をあとにした。