我妻はかごの中の鳥

「……お兄ちゃん…欲しいの?」


メモを凝視している俺を見てそう思ったらしい。

瑠璃が小首を傾げ、不思議そうに見てきた。


…いや、そんなわけないだろ。

俺に男の気はありません。


「いらないいらない。こんなの、持ってても良いことない」

「……そうなの」

「そうなの」

ちなみに、?をつけないからわかりづらいと思うが、彼女は問いをしている。

瑠璃の無表情さから出る疑問はわかりづらい。


「…でもお兄ちゃんモテる」


「えー?お兄ちゃん瑠璃にだけモテてればそれでいいよ」


「…はあ…」

「ため息!ため息つかれた!」

そこでふと、ちいさく疑問が生まれる。


「お前、モテんだろ」


大丈夫なのか?

だって、こんな美女を放っとく世間ではないのだ。

この小さい彼女が、それに全部対処できてるとは思えない。

現に、メモもらってもこんな感じだし。


「……見た目がこれだから、目立つだけ」

「いやいや瑠璃ちゃん、鈍感系ってゆースペックなくていいからね?
さすがにその美しさで無自覚は通用しないよ?」

「……むぅ」


モテるのを嫌がるらしい瑠璃は、唇を尖らせる。

ああ可愛いよう…
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