我妻はかごの中の鳥

「瑠璃さ、歌月となにかあったの?
キャラメルがどうとか、電話で言ってたろ」


「…っ」


途端に、耳が真っ赤に染まる。

カタンと高い音を響かせて、フォークが手から滑り落ちた。


「…え」


「……き、いてた…の」


予想外の反応である。

「え…まあ、聞いちゃったーとゆーか、その」

「……歌月のバカ…」

頭を押さえ、もう一度フォークを持ち直した。

「………か、歌月がね…その、キャラメルで、えと」

誤魔化したいのか、巻いたパスタを口に運んだ。

真っ赤に染まりまくる顔に、不覚にもキュンキュンした。

無表情なのに頑張って話そうとする健気な姿勢とか、もう…もうっ…


「…ぅう……」

「無理して言わなくて良いよ瑠璃。
もうその可愛さだけでごちそうさまだから。
何があったとかもうどうでもいいから」


「…そ、そぉ……?」

ごちそうさま?と首を傾げたが、気にしないことにしたらしい。彼女はまたパスタを巻き始めた。


…歌月のやつ、瑠璃とイチャイチャしたな。

キャラメルは意味がわかんないけど、瑠璃のこの反応から見て絶対にイチャついたとかそんな内容だろう。


羨ましいとは思わない。嘘だけど。

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