我妻はかごの中の鳥
食事が終わり、例のミルフィーユのキャラメル味とやらが来た。
他にもイチゴとコーヒーがあったらしいが、瑠璃はキャラメル味一択だった。どんだけ好きなの。
「…いただきます…っ」
目が輝いている。
フォークで一口サイズに切り取り、丁寧に口に運ぶ。
「…」
「おいしい?」
こくこくこく。
三回うなずいた。
相当おいしいらしい。
「お兄ちゃん」
「ん?あ、お」
フォークを刺したケーキが目の前に現れた。
ちっちゃいお口を開けてることから『あーん』であることがわかった。
「…お兄ちゃんとしては、瑠璃にあーんしたいなってゆーか。歌月がしてたのが羨ましい…」
眉毛をハの字に下げる。なに無表情。
「…あーん」
俺は瑠璃に弱いのである。
ケーキが口の中に放り込まれ、甘さが広がる。
鼻を抜けるキャラメルの香り。
「ん、美味しいね」
こくこく。
可愛らしくうなずいた。
「わあ!キャラメルのやつ美味しー!」
そんな声が耳についた。