我妻はかごの中の鳥

「…お兄ちゃんと私も、家族」




あむ、と口に放りこむ。


無表情でそんなことを言うんだ、うちの妹は。


「そうだね、確かに、家族だわ」


ああもう、可愛いな。

そうだよ、これも立派な団らんだよ。

普通じゃなくても家族なんだから。


瑠璃にもういっかい『あーん』を強要された。

素直に口をあければ、満足そうに頷く。



「なにあれ、可愛いんだけど!」

「兄弟かなー、ラブラブだねー」

「恋人じゃないの?あ、でも髪色同じか…」


前方の席に座る女の子たちの声が耳に届いた。

…明らかに俺らの話をしている。

うむ、ちょっと嫌だな。

そう思い瑠璃を見れば、俯いていた。


耳が赤いから、恥ずかしがってる。


初なのか、大胆なのか。


やっぱりうちの妹は掴みづらい。



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