我妻はかごの中の鳥


ケーキを食べ終わり、支払いを済ませ(ちなみに俺持ち。歌月の命令。まあいいけどね)、ぶらりぶらりと帰宅することに。


まだ日は高いけど、俺らには外にいる意味ないし。


「やっぱここは人が多いねー。瑠璃の町や俺んちとは大違い」


こくんと、隣を歩く瑠璃が頷いた。

見慣れぬ駅に向かって、商店街を歩いていく。

友達と喋ってるものや、カップル、家族。とにかく人がいっぱいいた。



「……」



やはり、居心地がよろしくない。

人当たりのいい人見知りは、人混みが苦手である。

自分はいるべきじゃないんじゃないか、とか、透明になりたい、とか。

そんなことを思ってしまうレベルに、俺は人見知りだ。


「…お兄ちゃん」


それは瑠璃も同じらしい。

居心地が悪そうに、俺を見つめてくる。


「…もう、おうち帰るからさ」


――だから、頑張ろう?



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