我妻はかごの中の鳥
「瑠璃、俺そんなに弱そうにみえる?」
コクコクコク。
三回も頷きやがったよこの子。
白髪が揺れる。無表情とともに。
「瑠璃こそ大丈夫なのかよー、人混み。苦手だろ?」
「っ、」
う、というようにたじろぐが、ぶんぶんと首をふりだす。
おぉ、無理してる。可愛い可愛い。
こうなると好きな子ほど苛めたくなる現象が男には発生してしまうのであーる。
「あっれー?じゃあこのお手手はなにかにゃー?」
「…ぅ」
ぎゅ、と俺の背中の服を掴んでる手。
無意識だったらしく、ハッとして手を離し、ぶんぶんと俺の背中の熱を手から逃がす。
それから、俺の背中を『うるさい』というように殴る。
「いてっ!…ツンデレな妹を持つと大変だわ…」
大していたくなかったけど、そう苛めてみる。
思惑どおり、途端に『やっちまった』顔をして、よしよしと今殴った背中を撫ぜ始めた。
あー…もうなんなんだこの生き物、可愛すぎる。