我妻はかごの中の鳥


『――ずっと夢見てた。瑠璃に会うことが生き甲斐だった』

『…私、そんないい妹じゃない…』

『それでも瑠璃がいてくれるだけで希望なんだ』

『………伊織さんの、お兄ちゃんの希望に見合うように、頑張るね』

『じゃあ俺も、』


――瑠璃に見合う兄になる。


あの頃はもう少し喋った瑠璃は、それを聞いて笑った。



お揃いの瞳が笑みに染まる。

それの幸せをはじめて知った瞬間だった。



あのときの胸が震えるような悦びは、今も衰えることはなく。


「しっかし、瑠璃の手ちっちぇなー」

「…お兄ちゃんが大きいの」

「いやいや、瑠璃がちっちゃいの。牛乳のめ、な?」

「…キャラメルじゃ、だめ?」

「だめだよー…」




俺らは今でも、互いに見合う兄弟を目指してる。


昔、ひとりぼっちだった俺らはお揃いを手に入れた。


お揃いの白髪、お揃いの瞳、お揃いの容姿。



見せびらかすようにして、町を歩いていく。




【たぶん本当に完】
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