我妻はかごの中の鳥
イライラした。
鉛を飲んだような、胸の支え。
そして気づく。瑠璃の実兄にさえ嫉妬する己に。
「あー…」
呑気な顔して寝やがって
なんだか気恥ずかしくなって、
今すぐ起こそうかと思ったがそれも酷だ。
「…」
ソファから毛布を持ってきて、瑠璃の肩にかける。
風邪引いたら大変だし。
「…ん」
もそっと身動ぎをする。
起こしたか、とビビったが。
「…く…」
まだぐっすりと眠っていた。
ホッと胸を撫で下ろす。
「…緑、く…」
体が固まったように動かなくなる。
『緑くん』
俺の昔のあだ名だ。
黒髪に緑色の目を持つ俺を、瑠璃はそう呼んだ。
瑠璃は、昔の俺の夢を見ているのか?