我妻はかごの中の鳥

とにかく、俺は瑠璃を監視することに決めた。


さて、どうするのやら。



「……」



掴まれた手首を嫌そうに眺め、次いで男を眺めた。

汚いものを見る目で。


あんな目で見られたくはないものだ。



「……あ、の」



「ん?どうしたのかな?」


幼い顔立ちの瑠璃を子供扱いする男。

ビクッと嫌そうに反応しながら、目を固く閉じて勇気を出した。


「ま、待ち合わせてる人がいるので。
手ぇ、離してください」


80点かな。

あなた誰ですか?くらい言いなさい。

旦那待ってるんですけど。でもいい。



とにかく、瑠璃の発言で周りがざわめいた。


男は、彼女の知り合いではないのか、と。


「…な、なにいってんだよっ!ほら、遅れて悪かったから行くぞ」


ぐい、と意識してないようだが荒々しく瑠璃の手首を引っ張る。

「…いっ」

思いの外痛かったらしく、小さく呻いた。


それにより、疑いの目を強める群衆。


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